YouTubeで有名なあおば会計の田中キミアキ氏が「かっぱ寿司」を批判している件に思う

天野です。 ネット上の誹謗中傷問題について、いくつか記事を書かせていただいています。まず、以下の動画をご覧ください。

 

田中キミアキ氏が、かっぱ寿司を批判する動画

 

かっぱ寿司ブラック認定!★救いたいが救えないほどバカ

 

動画の内容を簡単に説明しますと・・・

かっぱ寿司は、有名YouTuber限定で、来店した様子をYouTubeにアップすることを条件に「食べ放題」を無料で提供すると言っているそうです。で、それを田中氏が批判している、というわけです。

田中氏がなぜこれを批判しているか、というと、有名YouTuberを呼ぶには、「食べ放題無料」程度では安すぎるからです。かっぱ寿司の食べ放題は1時間1580円です。しかし、有名YouTuberの1時間の労働を時給換算すると10万円以上になります。田中氏は、「普段から労働者を安くこき使っているから、こういう企画を思いつくんだ」と批判しています。

 

あなたは、田中キミアキ氏のこの発言は、「名誉棄損」だと思いますか?

 

あなたは、どういう感想を持たれたでしょうか?田中キミアキ氏のこの発言は、誹謗中傷になるでしょうか?おそらく、多くの人が「問題ない」と思ったでしょう。僕もそうです。

とはいえ、厳密に言うと法的には、これは名誉棄損にあたると思います。もし、田中キミアキ氏がかっぱ寿司から訴えられたら、おそらく負けるでしょう。その理由は、まず「バカ」とか「ブラック企業」という言葉です。これは、誰が見ても、「侮辱的な言葉」です。

もちろん、名誉棄損は、公益性がある場合は認められます。かっぱ寿司は全国展開している企業なので、十分に公益性があります。しかし、田中氏が指摘したこの事実だけで「ブラック企業」と言えるかというと、決してそんなことはありません。だからこそ、法的には名誉棄損にはなってしまうというわけです。

とはいえ、先に書いたとおり、総じていうと、この件は「問題ない」と多くの人が思うでしょう。その理由は・・・

 

強い者を批判しているから

 

強い者を批判しているから」です。

僕は、過去にとまべっちーさんが清水有高氏を批判している件について、「言い過ぎだ」と指摘しました。

清水氏の会社は、小さな企業です。もちろん、たとえ小さな企業であっても、批判するべきことは批判していくのが正しいです。

しかし、「言い過ぎ」はよくありません。なぜかというと、日本経済の停滞につながってしまうからです。「小さな企業」は「弱者」です。弱者を叩き落すことが続くと、日本経済は確実に停滞します。

一方、大企業に対しては、「言い過ぎ」ても、日本経済が停滞することはありません。なぜなら、そんなことでは潰れないからです。むしろ、大企業は弱者どころか、「強者」です。「強者」は、弱者から搾取することがしばしばあります。なので、多少、批判の言葉を言い過ぎたとしても、多くの人は、「許容の範囲」と感じるのです。

 

 

 

「弱きを助け、強きをくじく」ことで世の中のバランスが保たれる

 

これはどんなことでもいえますが、「弱きを助け、強きをくじく」ことで、バランスが取れます。たとえば税金(所得税)制度がそうなっていますよね。あと、わかりやすい例でいえば、プロ野球のドラフトのウエーバー制度です。

ウエーバー制度とは、その年の最下位のチームから順番にドラフトで指名権を与えるものです。当然、最下位に近いチームから、その年のドラフトで「いい選手」を取れることになります。その結果、各チームの戦力が均衡するわけですね。

これを「名誉棄損」に当てはめて考えると、「強い者は、多少、いじめても問題ない。でも、弱い者をいじめるのはよくない」となります(法的にではなく、あくまで市民感情として)。

その証拠に、昔から、「強い者に挑んでいく話」は人気がありますよね。最近では、巨大組織であるNHKに対して個人で戦いを挑んでいる立花孝志氏などは、YouTubeでかなり人気が出ています。

 

田中キミアキ氏が使っている言葉は、ギリギリセーフ

 

また、田中氏がかっぱ寿司に行った言葉、つまり「バカ」とか「ブラック企業」などは、厳密に言えば名誉棄損になるでしょうが、場合によってはセーフかもしれない、というラインです。

法的な話をすると、「名誉感情を傷つける」と「名誉を棄損する」に分けられるようです。

「名誉感情を傷つける」というのは、社会的地位を下げないまでも、「言われてむかつく」言葉ですね。一方、「名誉を棄損する」というのは、社会的地位を下げる言葉です。

立花孝志氏は、これを「まずい料理、腐った料理」という例を使って説明しています。

 

選挙ウォッチャーちだい氏を名誉棄損で刑事告訴します・そして民事では損害賠償金を20万円から200万円に増額します

 

つまり、飲食店の料理を、「まずい料理」と表現することは、食べた人の感想です。こういうことを言われたら店主は「むかつく」でしょうが、店の社会的地位を下げたかどうかは微妙なところです。これが、「名誉感情を傷つける行為」です。

しかし、「腐った料理」と言われた場合は、店の社会的地位を下げます。これが「名誉棄損」ですね。当然、名誉棄損の方が賠償額は重くなります。

もちろん、いくら「感想」でも、限度はあることはお忘れなく。感想なら何を言ってもいい、ということにはならないので、立花氏のこの動画を見て安心し、人に暴言を吐くのはやめましょう)

 

これを踏まえると・・・

 

これを踏まえて見た場合、田中氏が使った「バカ」は、「名誉感情を傷つける行為」、つまり「言われてむかつく言葉」にすぎず、社会的地位を落とすとまではいえません。

一方、「ブラック企業」は議論が分かれるところでしょう。僕的には、完全にこの言葉は「アウト」です。ただ、「ブラック企業」という言葉はすでに日常用語になっており、ちょっとしことでも使われます。なので、完全に名誉棄損と認定されるかどうかは、「状況」によって変わってくるでしょう。

 

田中キミアキの場合の「状況」は・・・

 

田中氏の場合は、「強い企業」に言っているので、市民感情としては許されるでしょう。なので、もし賠償命令が出るとしても少額に収まると思います。ただし、繰り返しますが、もし本当にかっぱ寿司に裁判されたら田中氏が負けることはほぼ確実です。あくまで、その額は少額になるだろう、という意味で「セーフ」というだけの話です。

おそらく、賠償額は10万円にも満たないのではないか、と思います前回あげた動画や、僕がいろいろ見て調べたうえでの感覚値ですが)。

 

 

 

匿名は、一般人が「強者」になれる手段

 

とまべっちーさんは、批判は匿名で行うべきである、と主張しています。僕もそれは正しいと思います。ただし、それはあくまでしっかりとルールを守ったうえでの話です。

というのも・・・

「匿名」を使えば、一般人が「強者」になれるからです。上に書いたとおり、世の中は、「弱きを助け、強きをくじく」ことでバランスが保たれます。インターネット上における「匿名」という集団は、すでに強者になっています。なので、今はむしろ、強者である「匿名たち」の活動を少し抑えていく必要があります。

そのためには、「匿名だからといって、誹謗中傷はダメ」という空気が広がっていく必要があります。

人は、武器を持ったらそれを使いたくなるものです。アメリカでは、武器を持つことが許されています。それは、各人がしっかりと節度を持って使うことが前提となっています。

日本では、武器を持つことが許されていません。最近も、某YouTuberが日用品としてカッターを持ち歩いていただけで逮捕されました。あなたは、これを聞いてどう思いますか?警察は、やりすぎだ、と思うでしょうか?

それとも、「いくら日用品でも、そんなものを持っていたら逮捕されて当たり前だ」と思うでしょうか?おそらく、日本人の感覚だと、後者の方が多いのではないか、と思います。

 

これを、「匿名」に当てはめて考えてみる

 

これを、「匿名」ということに当てはめて考えてみてください。上にも書いたとおり、匿名を使うということは、一般人が「強者」になれる武器を使っていることになります。ごくごく普通の大学生が、大企業よりも強くなることができます。これは、カッターどころの話ではない、とても強力な武器だと思いませんか?

だからこそ、匿名で気軽に批判してはいけないのです。投稿する前に、自分が書いた文章が、ひどいものになっていないか、もう一度確認する必要があるでしょう。

そういう文化が広まれば、匿名での論争もとても有意義なものになると思います。

 

30年後の世界から、今のネット社会を見ると「野蛮」に見えるはず

 

おそらくですが、30年後の世界から、今のネット社会を見ると、とても野蛮に見えるでしょう。それはちょうど、30年前のワイドショーを見ると野蛮に見えるのと同じです。

許可なく人の家にずかずかと上がり込んで、無断で撮影して、プライバシーも何もあったものじゃない、ひどい報道をしていますよね。

また、体育会系の練習もそうです。30年前の部活の話を聞くと、今の子はとても信じられないでしょう。練習中に水も飲めず、監督からは罵声と体罰があびせられます。

みんな、それが当たり前だと思っていたんですね。

それと同じように、匿名での書き込みのルールが確立していない今は、みんな、感情の赴くままに書きたいことを書きなぐっています。自分が「武器」を使っていることに全くきづいていません。

匿名は、とてもいい手段だと思います。僕も普段、知恵袋などでよく匿名で書き込みさせていただいています。やり方を間違えなければ、議論が深まり、大きな学びが得られます。

もしあなたが、「普段、匿名でひどいこと書いてるなあ」と感じられた場合は、ぜひ一度、考え直していただけたら、と思います。