歌詞をきっかけに心理学を学ぶシリーズです。
今回は、Official髭男dismの「I Love…」の歌詞の一部
「完全に分かち合うより 曖昧に悩みながらも 認め合えたなら」
引用元 : Official髭男dism 「I Love…」/ 作詞 : 藤原聡
に注目してみます。
普通、恋人同士は、喜びや悲しみど完全に分かち合う、つまり共有することが良いとされています。しかし、この歌詞では、「完全に分かち合うより、曖昧に悩みながら認め合う」ことを求めています。
恋人同士、仲間同士、夫婦・・・
なんでもそうですが、何かを一緒にやる関係になったときは、考え方が一緒でなければならない、と思われていますよね?だから、人は争うのです。つまり、「俺たち仲間だろ?なんでお前は違う考えをするんだ?」と。
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でも、違う考えの人がいたっていい。むしろ、違う考えが混ざりつつ、悩みながら前に進もうとする方が、物事はうまくいくのです。なんでもかんでも白黒つけなければならない。こういう考え方のことを、心理学では
「二分割思考」
と言います。認知行動療法で有名なアーロン・ベック氏が著書の中で「うつ病になりやすい性格特性」として、この「二分割思考」を紹介しています。二分割思考は、考え方としては「子供」です。
「こうじゃなきゃ嫌だ!」
と、駄々をこねているイメージですね。
そうではなく、自分の考えと違ったとしても、それを認めながら、悩みながら、なんとか前に進めようとする。こういう思考の方が「大人」です。
最近の日本人は、こういう「大人」な人が少なくなっています。
その原因のひとつに、マーケティングによる「わかりやすいメッセージ」があると私は見ています。企業のCMでも、政治でも、なんでもそうですよね。わかりやすさが重視されます。
「郵政民営化に賛成するのか。反対するのか」
こういう言葉が躍り出た小泉構造改革以降、政治も「二分割思考」になり、有権者が子供になり、政治が停滞していったように個人的には思います。わかりやすいメッセージは、思考を簡略化させてくれますが、そればかりが続くと、本当に人はものを考えなくなってしまいますね。
二分割思考。
こうならないように、Official髭男dismの「I Love…」の歌詞のように、違う考えを認めながら、悩みながら、前に進みたいですね。
あなたの未来のために。
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